更に空席が増えた教室の中、私はずっと謎夢について考えていた。
あの文字、あの風景、そして…。
彼女は静かに眠っていた。窓際には、小さいひまわりが少し萎れて花瓶に挿さっている。
「ねぇ、なんでこんなことをするの…?」
ベッドの脇に座って話しかけるが、もちろん返事は無い。
「もっと、ちゃんと話を聞いてれば良かったの…?ねぇ…。」
私の消え入るような言葉は彼女に届いたのだろうか…。
ほっぺたがヒンヤリする。
「ん…。」
これは…土…?
手をついて起き上がり見渡すと、辺りは一面の太いツルに覆われている。
そこそこの広さはあるが、上を見上げてもツルしか見えない。
これはまた夢の中…?
「戻ってきてくれたんだ…!!」
どこからか、彼女の声がした。しかし、どこにも姿は無い。
「やっぱり…。」
「やっぱりってことは、あたしだって分かってたんだね。」
「うん。文字が似てるなっていうのは思ってたんだけど、あの分かれ道の風景に見覚えがあったのと、今日家に行って窓際にあったひまわりで確信した。」
「さすが、1回夢から出てるだけはあるね!!」
「どこにいるの?なんでこんなことを…。いま学校は謎夢のせいで大変なんだよ!?」
「へぇ、謎夢なんて名前まで付いたんだ!!確かに、だいぶ人数も増えてるしねー。」
久しぶりに聞いた彼女の声は、思っていたよりも元気そうだった。
「じゃあ、これが解けたら教えてあげる。鉛筆とかも出しておくね。」
その声とともに、頭に紙が落ちてきた。
「ねぇ、出てきてよ。」
その私の呼びかけには反応が無い。
結局解くしかないってことか…。