謎制作イベント『謎王』で5位を取った話

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「日本最強謎制作者決めます」という文言とともに告知されたイベント『謎王』に参加しました。

2021年2月1日に告知されてから2月27日の決勝の結果発表まで約1ヶ月間という長いとも短いとも取れる期間でしたが、筆者が何を考えて提出する謎を選定・作成したのかを書いていければと思います。

告知

謎王の告知がなされたのは2/1の21:00で、公式HPを読んで(およびその後の説明放送を見て)分かった情報は以下の通りでした。

提出ルール

  • 画像1枚からなる謎
    • 画像サイズは1200x630px
    • 画像には謎王専用の枠が付く
  • 期限は2/10 23:59まで (約9日)
  • 既発表作でも新作でもok (既発表作の場合は権利に注意してね)
  • 謎画像に加えて解説 (文章でも画像でも良い)
  • 合作はNG
  • 1人2作までok

審査方法(予選)

  • 一般ユーザーによる投票
  • 応募作品の中からランダムに選ばれた2つが呈示され【より面白い方】に投票する
  • 上位10名が通過

特筆すべき点はやはり審査方法で、当時twitter上で流行っていたコンテンツの投票方法を模した、一対比較法を用いている点でしょう。※1

上位10作品の決め方の記述がどこにも見つかりませんでしたが、可能性としては

  • 投票数順(得票数)
  • 投票割合順(得票数/表示数)
  • なんか難しい統計手法

のいずれかかなと考え、無難に投票割合順かなと予測しました。

今回の出場の意気込み

今回応募した人の意気込みには、「自分が参加できる謎制作のコンテストが初めてだから参加してみたい」とか「優勝者の副賞(=審査員協力の下「夢を叶える」サポート)が欲しい」とか色々とあると思いますが、筆者の意気込みとしては「優勝者として(企業系の人に)名前を売りたい」というものになります。

個人の趣味でVtuber※2というものにハマり、最近はホロライブや個人勢をメインに動画や配信を見ています。

その人達に自分の制作した謎解きで何か役立ちたい!と考えた時に、同人謎解きを制作するとか自分の作成した謎解きをたまたま解いてもらうとかがあります。

ですが、チャンネル登録者数がウン十万人のレベルとなると、1同人作品に反応することはほとんどなく、どちらかといえば謎ファイル等で公式のグッズとして出しそうな雰囲気が感じられます。

その際、無名個人に企業側から制作依頼が来るはずがないので、今のうちに少しでも企業の方の目に止めてもらえるように肩書きを持っておきたい・意欲をアピールしておきたいということですね。

そのために、「決勝に残ること」を最重要目標として参加することにしました。

既発表作の確認

戦略的に良いと判断した時、もしくは何も思いつかなかった時にはこの3題の中から2題(今回は上から2題)を選んで出題しようと考えました。

→解き味も含めて多分一番綺麗。解説画像もシンプルになって一番順位が上になりそう。


→自力で思いついた人は面白いと感じるのでは?解けなくても解説が見れるなら解説を読んで作意を理解して面白いと思ってもらえるかも。


→綺麗で伸びてはいるけど、販促伸びの可能性? これを出すなら1問目かなぁ。

経過観察と戦略の設定

2/4に公式から「提出した謎の編集が可能になった」との発表があったため、動作確認も兼ねて2/5に1題を投稿しました。

投稿時に「IDは0071です。覚えておいてください。」という文章が。

恐らく投稿順のナンバリングだろうということで、2/5夜時点での投稿数が71と確認できました。

〆切直前に投稿する人が多いと考え、最終的な投稿数は250〜300と予想し、上位約1/30に入る必要があることが分かりました。

ここで筆者の上位予想は

  • 1〜5位くらい:綺麗かつ面白いもの
  • 6〜30位くらい:綺麗なもの・面白いもの

くらいになると予想しました。

このような順位予想をしたのは今回の評価が【より面白い方】に投票するという基準であり、複数回同じ問題を見る可能性があると考えると、ただ綺麗なだけでは(特に)2回目以降は投票されにくいと考えたからです。(28位の作品のような謎がもっと上位に入ってくると予想していました)

そのため、ただ綺麗な謎で上位10位以内に入るのは厳しいという判断をし(投稿された綺麗な作品の中で上位5位以内、綺麗かつ面白い作品数によっては3位以内に入る必要があるため)、ただ綺麗な謎ではなく、【面白い】と呼べるポイントがある謎を提出することにしました。

【面白い】と呼べるポイントがある謎として、1題は作意が分かれば面白いと分かってもらえそうな上記twitter謎2題目を、もう1題は世間が面白いと評価している謎を全力でオマージュした謎を提出することにしました

昔の自分だったら「オマージュで通っても嬉しくない。自分の制作した謎で勝負だ!」と思っていた可能性は十分にありますが、今回は「決勝に残る」ことを最重要目標としていたため、そんなに気になりませんでした。


ちなみに、他の予選通過者では2位のまっきーさん3位の俺が夏祭りさんが自分の取った戦略をtwitter上で述べています。


また、今回はオマージュという手法を取ったので関係ないですが、オマージュしない場合でも以下の様なものは上位に来ないと予測して避けていたと思います。(予選結果を見ていただけたらわかると思いますが、実際にその傾向にあると思います。)

  • 文字量の多いもの(大量に評価している中でそもそも解く気が起きないので)
  • 審査員や謎王の枠謎のメタ情報を使用するもの(確実に大量に被るので)
  • 迷路や計算等の作業が含まれるもの(作業は楽しくないので)

「世間が面白いと評価している謎」とは

筆者が「世間が面白いと評価している謎」として一番初めに思いついた謎はtwitterのTLにもよく流れてきていたたつなみさんが少し前まで定期的に出題していた「すこしずるいパズル」でした。

筆者が特に気に入っている作品は下のものです。

投稿時期にも依りますが、安定して3,000〜10,000RTを稼いでおり「世間が面白いと評価している」と言え、かつ同系統の謎が多く出ているので模倣しやすいと考えました。

謎をオマージュする

筆者は以下のように他謎制作者さんのオマージュ謎を作成した経験が何度かあります。

そして、一見して本人の作品だと思われるほどに寄せるということは、オマージュ元作者に敬意を払う方法の1つであると考えており、基本的に筆者がオマージュする際にはなるべく寄せるようにしています。

たつなみさんの謎を分析する

ギミック被りはまだしも、全く同じことをするとパクリになってしまいますので、twitterで出されている謎や最近発売された本を確認しました。

その結果、頻出するタイプが3つあることが分かりました。

  • 図形を書き足して・動かしてスタートからゴールまで繋げるパターン
  • 枠に入る選択肢を選ぶ・空きマスに文字を埋めるパターン
  • 条件を満たすように迷路の通り道を求めるパターン

この3タイプのtwitter上の反応を見ると、ⅰ→ⅱ→ⅲの順に反応数が多かったため、なるべく番号の若いもののオマージュを作成するようにしようと3日間くらい考えました。

考えている際には原作者の方が気を遣っていると考えた以下の3点を特に注意し、画像制作の際にもなるべく忠実に再現するようにしました。

  • 文字を手書きにすることでずるい部分に気付きにくくする&気付いたときの納得感を高める
  • 出てくるイラストでさりげないヒントを出す
  • 考えれば誰もが分かる難易度にする

結局ⅰのパターンは作れなかったので、主としてⅱの以下の作品を元に制作した、

以下を提出することにしました。

実際に予選で提出した謎

〆切前日の2/9夕方に提出し、idは0188でした。

審査投票

投稿期間が終了し、投稿数が340であることが分かりました。

前日夕方で188だったことを考えると、駆け込みでの投稿が結構あったと考えられます。

投稿数が多く、綺麗寄りの作品が多かったため、期間中はTOP10に入れる自信はあまり無くなっていました。


投票はちゃんと数えていませんが、500回くらいは投票したのではないでしょうか。

投票中、思ったよりも自分の謎は出てこないなと感じました。10回も見ていないと思います。

筆者の5選は、1,6,12,23,28です。

予選結果と分析

結果としては、ありがたいことに新規で作成したオマージュ謎が7位にランクインし、無事目標である決勝進出を果たすことができました!

投票詳細は出ていないので、見えるところとの関連性を見ます。


投票ツイート


投票ツイートはnegoto(寝言)さん(@nazorz)が結果のまとめを毎日ツイートしてくださっていました。

2/19 0:00時点で投票ツイート数は約550ツイートで、そのうち4ツイート以上獲得している45作品のうち、10位以内の作品は5作品、11〜50位の作品は13作品、51〜100位の作品は14作品でした。

100位圏外の作品が12作品あることを考えると、ツイート数から順位を予測するのは難しいのではないかと思います。(番号の検索ができないので調べていませんが、「上位に入っている作品はnツイート以上されている」といった事実はあるかもしれません。)


元ツイートのRT数


筆者は新作が上位にきましたが、49RTあった過去作は100位圏外でした。

しかし、俺が夏祭りさんは「黙って面白い過去問2つ投げるが正解だった」と言っているとおり、ツイッターでの反応が良かったものを投げるのも良い戦略の可能性があります。

そのため、10位以内に入った作品の元ツイート(原作)の反応数を調査しました。(2021/02/27現在)

問題によってばらつきがありますが、1.7万リツイートされている作品が69位だったりすることを考えると、リツイート数と謎王で高順位をとれるかどうかはあまり関係ないのかもしれません。

決勝の審査方法とテーマ

無事に決勝進出ということになり、運営の方から送られてきたテーマは「時間」でした。

審査方法(決勝)

  • 事前に選出された審査員7名による投票
  • それぞれの審査員が100点満点で得点を付ける

決勝は予選よりも投票方法がシンプルで分かりやすく、審査員7名に刺さるような謎を作れば良いという戦略になるなと思いました。

決勝の戦略

予選の結果や講評を見て綺麗なだけの謎では優勝は取れないと確信し、時間をテーマにした謎の中で自分が面白いと思ったかつ予選の謎の中で審査員が好評価していた謎に近い系統の謎をまずは思い出すようにしました。


この謎が良いと思ったポイントは単純に「時間=時計」みたいなものではなく時間が経過したことで解けるようになるという点です。(そもそも時間をテーマに作ってはいないですが)

決勝では、規模は異なりますが、優勝されたKBさんが作った謎まっきーさんが作った謎がそれにあたるかなと思います。

決勝の謎の制作

スティックのりの謎を参考に、同様に「時間が経ったら変化するもの」は無いかを考え「看板」って時間が経つと赤い文字だけ消えるよなぁというところまでは考えたのですが、そこから残った黒い文字だけで上手く文章になるようなものが期間の5日中3日掛けても実装できませんでした。

(「いばらがありきけん」くらいまで考えましたが、消える方の文字だし謎の形になっていないので不採用)

そこで、正直不本意なところもありますが、予備案として考えていた下記の時計の謎を提出することにしました。

実際に決勝で提出した謎

一応こだわった点は以下です。

  • シンプル
  • 最後に一捻りがある
  • 目盛を太くすることで回転角度に限定を加えた
  • 答えがテーマに関連する単語である

逆に、数名の方に指摘された「時計の反転」については正直なところ考慮できていなかったです。

これは完全にセルフデバッグ不足です。

どやさんには気付いて頂いていましたが、カクついたフォントを使用することで多少はアルファベットへの変換の際の納得感を上げられるのかなと考えていました。

評価を聞いていると、かなり10題の中でも難易度が高くなってしまっていたようなので、難易度を抑える意味も込めて、「12,3,6,9をアルファベットとして読める数字として記載する」という方法も

  • アルファベットに変換できない
  • 反転を考慮せずに済む(ただし回転角度がバレる)

の2点を考慮するとあったのかなぁと思いました。

決勝の評価を聞いた感想

率直に言うと、「もし戦略通りの謎が作れていたとしても優勝できていなかっただろうな」というのが感想です。

講評でも述べられていましたが「どういう形式で誰が解いてどう審査されるのか」という点を意識して作るようにはしていたのですが決勝では審査員の方の好みを捉えきることができておらず、多分初めに制作しようと思っていた謎ができていた場合、630点(平均90点)の壁は越えれても、優勝まではできなかったのかなと思います。

謎王開催に対する謝辞

普段、このように多くの人に悪く感じた点も含めてここまで評価してもらえることは滅多になく、決勝での講評を聞けただけでも決勝に残った価値があったなと感じました。

審査員の皆さま、また、この様な機会を設けてくださった運営の皆さまに感謝を申し上げます。

まとめ

  • 特定の個人に刺さる謎と最大公約数の謎は異なることが多い
  • 630点の壁は厚い。

予選は上手くチューニングできましたが、決勝ではチューニングしきれていないどころか、時間が無かったとは言え想定していた謎を上手く形にできないままという提出になってしまったことは不甲斐なく思っています。

やはり普段からのインプットがものを言うなと感じました。

次回も決勝に残り、コンスタントに良いものが作れることを示していけたらなと思います!

脚注


※1:参考文献…不完備型曙好テストにおける四者択一方式の有効性 - J-Stage

※2:バーチャルYoutuberのこと。2017年末頃から話題になり始めた。

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