謎王2の予選予想結果と考察
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ツイートこの記事は、謎王2予選の結果が出る前に予想した上位に入りそうな謎と実際に上位に入った謎との差の比較やその後のtwitter spaceで得た知見によって考察をした記事です。
記事中の「『一枚謎の面白さ』の評価モデル」については筆者が興味があるので、どんな方法でも良いので意見をお聞かせいただけますと幸いです。
「謎王2って何?」「噂には聞いているけど問題は解いていない」という人は、以下のリンクからご覧ください!
謎王2謎王2における全体の出題傾向
まず、投稿作品数の増加(340作品→456問)はあまり予想していなかった(微減予想)のでちょっと驚きました。
投稿されている謎の内容としては、謎王1では初回ということもあり、メタ謎(問題枠や謎王に関する情報を使用した謎)が10問に満たない程度出題されていましたが、謎王2では1題しか出題されませんでした。
時期的な流行としては「赤青紫謎」と呼ばれる形式の謎が増加し、全体の傾向としては、文字数を減らす・謎の易化傾向にあるかなと思いました。
謎王1で実際に投票を行ってみて気付くことのできるスマホで見た際の画像の小ささや数多く投票することの大変さ、更に前回の結果を見て気付くことのできる上位に入っていた実際の謎の傾向からそのような変化が見られたのかなと思います。
予選結果の予想と差異
決勝進出者の謎情報一覧
順位 | 筆者予想 | 概説 | 制作者 | twitter出題 |
---|---|---|---|---|
1 | - | 色消し迷路 | ドミノ (@do_mi_no_71) | ○ (513RT) |
2 | ○ | 星月矢印 | みずなし (@m1zunash1) | ○ (264RT) |
3 | ○ | clock↔check | ジャル (@zyallllll) | ○ (160RT) |
4 | ○ | 3x7=? | 内海 狼猫 (@utsumi_9603) | ○ (694RT) |
5 | - | 実写指 | 内海 狼猫 (@utsumi_9603) | ○ (388RT) |
6 | - | 漢字英語埋め | まっさん (@KG_nazomasu) | ○ (63RT) |
7 | - | OO穴埋め | セーブクマ (@sebukuma) | ○ (121RT) |
8 | ○ | 黒地白字正 | ちーたー (@Cheetah_math) | ○ (22RT) |
9 | - | イエロー虹 | あとろわ (@atorowa) | ○ (156RT) |
10 | - | アルファベット格子 | あとろわ (@atorowa) | ○ (129RT) |
11 | ◎ | ぼ裏く | シルクト (@shirukuto_NAZO) | ○ (49RT) |
12 | - | ミニカー | アオイ (@mo0n_28O) | ○ (61RT) |
筆者の予想した謎の結果
筆者予想 | 順位 | 概説 | 雑分類 |
---|---|---|---|
◎ | 11 | ぼ 裏 く | 実写・簡単・明快 |
◎ | 17 | 色スケルトン | 典型改題 |
◎ | 18 | 半角カタカナ | 典型改題・ひらめき |
◎ | 19 | 赤白黒あみだ | 典型組み合わせ・明快 |
◎ | 64 | 単→恵 | 実写・ひらめき |
○ | 2 | 星月矢印 | 綺麗・簡単 |
○ | 3 | clock↔check | 簡単・明快・デザイン |
○ | 4 | 3x7= | 綺麗・典型改題 |
○ | 8 | 黒地白字正 | 典型改題 |
○ | 28 | すいとんスケルトン | 典型改題・簡単 |
○ | 29 | あけてめいく | 簡単・明快・funny |
○ | 70 | open→close | 簡単・明快 |
○ | 97 | 図形ベン図の白黒の方 | 典型改題 |
○ | 選外 | わんどさん矢印 | 綺麗 |
○ | 選外 | イロハ謎漢字 | 綺麗 |
○ | 選外 | ひらめき消え | ひらめき |
○ | 選外 | しらゆきひめ | ひらめき |
○ | 選外 | よーぐると | 簡単・funny |
○ | 選外 | 温湿布 | funny |
考察
Twitterへの投稿
前回と今回で違いが表れた点として、上位作品はtwitterでの過去問が占める様になったという点が見られます。
大会 | 新作率 | RT数中央値 |
---|---|---|
謎王1 | 30% (3/10) | 68RT |
謎王2 | 0% (0/12) | 142.5RT |
※新作は0RTとして計算。
前回から「twitterでバズったものを投稿するのが良い」と主張している方(drivingさん等)はいらっしゃいましたが、理由が明確に示されておらず、「新奇性を損なう」として個人的にはあまり賛同していませんでした。
今回、謎王2関連のtwitter spaceをいくつか聞いたり参加させていただきましたが、その中で出ていた仮説の中に、謎王の予選投票はその大量投票の特性上「その場で解いて評価した謎」よりも「過去に良い謎としてtwitterで流れてきて解いたことのある謎」の方が高い評価になりやすいのではないかというものがありました。
確かに、上位を狙うのであればライト層よりも大量に投票しそうな人に刺さる謎を作った方が良く、大量に投票する層に刺さる層であれば、広く拡散された謎はチェックしていてもおかしくありません。
更に、twitterで事前に出題しておくことには以下のようなメリットがあります。
- 世間にウケる謎かどうかを事前に知っておくことができ、実際にウケた謎を数値で判断して出題することができる
- 謎王本番よりも時間を掛けて解いてもらいやすいため、少しステップのある謎が出題しやすい
- 「拡散されて回ってきた謎」という事実自体が評定にプラスに働く可能性がある(≒ウィンザー効果※1)
- twitterで一度解いている場合、軽微なマイナス点があっても覚えておらず評定にプラスに働く可能性がある(関連:ひらめき/作業係数)
- 1分でも先に表に出した人がそのアイデアの発見者としての有効性を持つ
評価という点でも多くのメリットがありますが、実は一番最後も重要性が高いと個人的には考えています。(ここから謎王に限らない謎制作の話になります。)
謎解きで使用できる知識については既に掘りつくされた状態であり、現状「既知概念を使用して誰も使用していない見せ方を探す旅に出る」か「謎解きに使用できる誰も使用していない単語群を探す旅に出る」かのどちらかになります。
どちらの場合でも、どこかの機会で初出にしようと公表せずにいて他の人が後から同じ発見をしてすぐに発表した場合、世間的には後から見つけた人が発見者として扱われてしまうわけです。
制作者としてはそのアイデアの独自性・非成立性が高ければ高いほど、手元の謎をお蔵入りにする必要があり(パクリといわれると制作者としての評価が下がるため)ダメージが大きいです。
そのため、独自性の強い発見をしたらすぐに表に出したほうが良いことになります(そして公演等の小謎から独自性の強い謎が消えていく)。
「良い謎」の評価方法と筆者の「面白い謎」の軸について
5位以内予想のものは概ね20位以内ではあるが決勝進出は0、オンザライン予想15作品のうち30位以内は6作品と、筆者の「面白い謎」の感覚が世間とずれていることが分かりました。
こちらもtwitter space等で他の方と意見交換をして自分の中では解決した結論としては、謎王の予選で求められている「面白い謎」とは、筆者の中での「良い謎」に近いものであるというものでした。
この違いを説明するために、まずは筆者の中の「良い謎」についてどのように評価しているのかを説明していきます。

webマーケティングでは1つのコンテンツ(ex:LP)についていくつかの評価指標[因子](滞在時間・直帰率・クリック数・CVR等)に分けてコンテンツを評価します。
このモデルを参考に「良い(≒面白い)」という抽象概念をいくつかの因子に分解しました。
謎の良さ(≒面白さ)を構成する因子について筆者は「ひらめき/作業係数」「要素過不足性」「想定難易度合致」「統一性(テーマ合致性)」「解法予測困難性」の5指標に分類しました。
- ひらめき/作業係数:(解法をひらめくのに掛かった時間)/(解答ワードを求めるのに掛かった時間)の数値。大きい方が良い。
- 要素過不足性:謎に記載されている要素の過不足性。過不足ない状態が最も良いが、その人の謎解き力によってどの要素があれば良いかが変わる(ものもある)。
- 想定難易度合致:謎に期待している難易度の合致度。1枚謎なら10秒〜1分くらいで解けることを期待している人が多いイメージ(あくまでイメージ)。
- 統一性(テーマ合致性):謎に使用されている要素や答えがどれだけ同一されているか(もしくは与えられたお題と合致しているか)
- 解法予測困難性:謎を見た時に答えの導出方法が予測できない度合い。「あっ、そうなるんだ」とか「そこを見る必要があるのね」みたいなの。慣れている人ほど予測の範囲が広がる。もうちょっと良い命名ができそう。 ※それぞれの因子が独立していない/因子が足りていない可能性があります。
その上で「各因子について重みづけをし、その合計点がその1枚謎の良さの評価となる」というモデルを最近まで推定していたのですが、最近は「全部の因子ではなく、評価の良かった因子2つ(3つ?)の合計点」がその1枚謎の良さの評価となる」という、よりどれかの因子に特化しているものが高評価を受けやすいモデルの方が実態に近いのではないかと考えています。
基本的には予選のことについてしか考えていませんでしたが、決勝についても(多少評価者による傾斜や抽出因子の傾向はあれど)同様の評価法が適応されていると考えて良いのではないかと思います。
さて、この評価モデルについて説明した上で「良い謎(≒世間の面白い謎)」と「筆者の考えていた面白い謎」とで何が異なるかというと、評価指標[因子]がそもそも異なっていたわけです。
文字面に囚われていたといえばそうなのですが、筆者が「面白い謎」を評価する際には「解法予測困難性」「言葉遊び度合い」の2軸で評価しており、「要素過不足性」などの謎の良さに係わる因子は無視して評価されると考えていました。(実際、筆者は謎王1,2のどちらもこの2軸で評価していていた)
前回はたまたま「良い謎」の評価方法でも高評価が得られるタイプの謎だったのかなと思っています。
個人的に好きだった謎
ここから先は、順位とは関係なく筆者が個人的に好きだった謎を紹介したいと思います。
「あぁこんな謎が好きなのね」くらいで見てもらえればと思います。
すいとんさんの"2つある"の謎
— しゑひ (@shiwehi) November 22, 2021
この謎が初めて出題されたのは、2016年くらい?で大分昔の話なんですが、当時「3分で15問出題される謎の内の1問」として出題されたにも関わらず、考えても全然解けず、3日考えても解けず、結局解けた他の人にヒントをもらってようやく解法を理解したという記憶があります。
メタ謎の中でも問題文を利用したメタ謎は最近ではよく見られるようになりましたが、それ以外のメタ謎はほとんど見かけません。
ことあるごとに「どこかで表に出ないかな」と筆者が言い続けていた作品です。
ようやく紹介できてよかったです。
たくあんさんの色スケルトンの謎
— しゑひ (@shiwehi) November 22, 2021
これだけ平易な要素だけで要素過不足性を満たした謎はなかなか見られないのではないでしょうか?
筆者は10選に入ると思っていましたが、17位と非常に惜しい結果でした。
4択にするという形式も見せ方として好きです。
雷神さんのサイコロの謎
— しゑひ (@shiwehi) November 22, 2021
このネタは筆者も考えてみたことがあるんですが、妥協を1文字に抑えてかつそれも簡潔に指示出来ていており、制作面でかなり評価が高いです。
こういうのはツールを使用しても見つけれるものではないので、地道な発見努力の賜物だと思います(ただし、解き手にそのことが伝わりにくい形式である(無限にそういう謎はある))
制作者の思想によっては「これを見つけられたのは奇跡です」と自分で宣伝してくタイプの人もいますが、この人はそういうタイプではなく、筆者と思想が近いかなと勝手に親近感を覚えました。
たららんさんの色付き数字の謎
— しゑひ (@shiwehi) November 22, 2021
これも大分テーマ的には使い古されたネタでありながら「まだ発見されていなかったのか」タイプだと思います。
個人として「ooってxxにフォントや書き方によっては見えるよね」ネタが好きでないのですが(ここが世間と間隔がずれている)、発見度合いとしては4位の3x7=?謎と同じくらいのものかなと思います。
ただ、やはり曜日であること自体は一瞬で分かり、そこから答えを求める作業が入るので票が入りにくかったのかなと考えます。
まとめ
- 予選ではtwitterで出題をしておき、事前に解いておいてもらうことや評価をあらかじめ知っておくことが重要。
- 予選では大量投票するため、「解きたいと思うフィルター」を通るようなシンプルな見た目・難易度が低めのものが高評価を受けやすいと考えられる。
基本的に「分かってるわ」みたいなことしか書いていなかったな、と感じた方は申し訳ないです。
謎の良さの評価法については「こういうモデルのが良いのでは?」のような意見がありましたら是非教えていただけますと幸いです!
感覚的にこんな感じでは?くらいでも構わないので教えていただけますと考察が進むかもしれません。
謎王3が開催される場合、もし全体が今回の優勝作品等を見てシンプル側に出題傾向がよるのであれば、個人的には少しだけ手数の掛かるのが狙い目ではないか、そうであれば事前にtwitterに出題して解いておいてもらうのが重要であるかなと考えています。
脚注
※1:ウィンザー効果(Windsor effect)とは、本人や提供者から発信される情報よりも、第三者が発信して間接的に伝わる情報の方が信頼性が高まるという心理的傾向のこと。
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